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ス開始が予定されていたが、実際にはかなり遅れそうな気配である。(図2.1.1.1−3)
(5) GPSの座標系
GPSで使用している座標系は地球の重力の中心を原点としたWGS−84測地系(World Geodetic System 1984)であるが、日本で使用されているのは東京データムという異なった座標系である。したがってGPSで求めた位置を地図にプロットすると、東京付近で実際の位置より約500m北西にずれてしまう。カーナビではこの換算を受信機のプログラムで行っているが、航空用のGPSに各国の座標系への変換機能はないので、GPSを国内で使用するには航空用地図や空港の位置をWGS−84に変換する必要がある。米国・カナダでは1992年にすでにWGS−84への移行が終了しているが、日本では今のところ1998年からの移行が計画されている。(ICAOでは1998年までにWGS−84を適用することで各国の承認を得ている)
(6) FANSにおけるGPSの役割
B747−400に装備されるFANS−1パッケージに含まれているGPSは、時間と自機の位置情報を提供する役割を果たす。まず時間について従来は機長サイドの時計が基準になっていたが、FANS装備機ではGPSから入手した時刻が基準となる。したがって非常に正確で、かつ機上も地上も同じ時刻を使用することになり、そのメリットは大変大きいものがある。また従来はINS/IRSをVOR/DMEにてアップデートしていたのが、FANS機では洋上でもGPSによるアップデートが可能となる。陸上でVOR/DMEによるアップデートが可能であっても、GPSによる位置情報の方が信頼できるとFMSにより判断される限り、GPSによるアップデートが行われる。
FANS装備機では現在位置の算出において、洋上・陸上を問わずFMSがGPSのみを使用することはない。必ずRadio Navigation AidsやIRSなど他の航法機器と比較しながら最も信頼できるデータを使用するようになっている。
(7) B777とB747−400FANS装備機におけるGPS利用方法の違い
日本に導入された大型旅客機で初めてGPSを搭載したのは、B777であり、B777のGPSは“Supplemental Means of Navigation”としての承認を受けている。
一方、B747−400のFANS装備機のGPSは“Primary Means of Navigation”としての承認を受けている。GPS機器の性能自体に差はないのだが、B777ではGPSの他に航法機器を搭載する必要があるのに対してB747−400のFA

 

 

 

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